取適法とフリーランス法の違いを実務でどう押さえるか
①取適法とは(旧・下請法)
取適法(中小受託取引適正化法)は、従来の「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」を改正し、名称も変更された法律です。主に企業間取引において、受注側の企業が不利な立場にならないよう保護することを目的としています。
例えば次のような行為は禁止されています。
・発注後の一方的な代金の減額
・納品後のやり直しの強要(受領後のやり直し)
・支払期日の遅延
・発注書面を出さない取引
・不当な返品
近年の改正では、特に価格交渉の適正化が強化されています。原材料価格や人件費の上昇を無視して価格を据え置くなど、受注側が不利になる取引慣行が問題視されているためです。
つまり取適法は、企業同士の取引における「優越的地位の濫用」を防ぐ法律と理解するとわかりやすいでしょう。
②フリーランス法とは
一方、フリーランス法は正式名称を
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。
これは、企業とフリーランス(個人事業主)との取引を対象にした法律です。
従来、フリーランスは労働者ではないため、労働法の保護が十分に及びませんでした。そのため取引上のトラブルが社会問題になっていたことから、この法律が制定されました。
フリーランス法では、主に次の義務が発注企業に課されています。
①契約内容の明示義務
業務内容、報酬額、支払期日などを文書または電子データで明示する必要があります。
②報酬支払期日の設定
成果物受領から60日以内の支払いなど、一定のルールが設けられています。
③不当な扱いの禁止
一方的な報酬減額、受領拒否、やり直しの強要などは禁止されています。
④ハラスメント対策
フリーランスに対するハラスメント防止措置が求められています。
この点が、取適法との大きな違いです。
フリーランス法は、単なる取引規制だけでなく就業環境の整備まで踏み込んでいるのが特徴です。
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③総務・人事が今すぐ見直すべき3つの実務
外注管理において、総務担当者が確認しておきたいポイントは次の3つです。
①外注契約書の整備
口約束で仕事を依頼していないか確認します。
②支払条件の明確化
支払期日が曖昧な取引はトラブルの原因になります。
③社内ルールの整備
フリーランスに対するハラスメント防止や相談窓口の整備も重要です。
外注やフリーランスの活用は、今後の企業経営において重要な人材戦略の一つです。しかし、取引条件が曖昧なままではトラブルにつながりやすく、企業の信用にも影響します。
取適法とフリーランス法を正しく理解し、透明性のある外注管理を行うことが、結果として企業の信頼性を高めることにつながると言えるでしょう。
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外注やフリーランス活用は、今後の企業経営に欠かせない手段です。だからこそ、取引の透明性を高め、対等な関係を築くことが、
結果的に企業の信頼性を高めることにつながります。
■参考資料
公正取引委員会(取適法)
https://www.jftc.go.jp/partnership_package/toritekihou.html
内閣官房(フリーランス法)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/freelance/index.html
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