セミナーレポート(9月19日佐野商工会議所)
「年収の壁を超えて、パートを戦力化する――正社員化の法則とは?」
はじめに
9月18日、佐野商工会議所にて「賃上げに取り組む企業への公的支援策」セミナーを開催しました。
今回は特に多くの参加者が関心を寄せたテーマ――「年収の壁」と、それを突破するための実務対応、
さらにパート従業員を戦力化するための「正社員化の法則」について取り上げます。
年収の壁と就業調整の現実
パートで働く方の多くが「106万円」「130万円」といった年収の壁を意識し、働き方を調整しています。
制度が複雑で分かりにくいため、「この先どのくらい働けば損をしないのか」「正社員になった方がよいのか」と悩む声が多いのが実情です
例えば106万円の壁は、週20時間以上・月8.8万円以上の収入で社会保険加入が義務づけられるラインです。制度拡大により対象者は年々広がり、
今後さらに“就業調整”の必要性は薄れていくと予想されます。
突破するための実務対応
企業側がとれる具体策の一つが「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用です。
中でもキャリアアップ助成金(正社員化コース)は大きなポイント。
有期契約社員を正社員に転換した場合、1人あたり最大80万円(中小企業の場合)の助成金が支給されます
加えて、社会保険の適用拡大に合わせて「在宅勤務・育児規程」の整備を行えば、
定着率を高めながら制度的な恩恵を受けることができます。
セミナーでは「有期 → 無期 → 限定正社員 → 正社員」というキャリアステップを提示しました。
いきなりフルタイム正社員を求めるのではなく、段階的に『右の待遇へ従業員を寄せていくこと』が成功の秘訣です。
(例:まずは有期から無期へ)
企業にとってのメリット
正社員化の推進は、単に助成金の受給や制度適合のためだけではありません。
・人材不足時代における確実な戦力確保
・現場力の底上げと属人化の解消
・従業員のエンゲージメント向上
といった、組織の持続的成長に直結する効果があります。
「働き方を守る」から「人を育てる」へ――その視点の転換が企業の競争力を高めます
\評価制度の整備が含まれる/
中小企業に必要な人事改革