無理な管理職登用が離職を招く。社労士が教える「マネジメント適性」の見極め方と専門職ルートの作り方

管理職への登用は、組織にとっても本人にとっても大きな転換点です。しかし、「優秀なプレイヤーが必ずしも優秀なマネージャーになるとは限らない」という現実に悩む経営者や人事担当者は少なくありません。

社労士・人事コンサルタントの視点から、「管理職に向いていない人の特徴」を整理し、どのように適性を判断すべきかを解説します。


1. 専門スキルの高さが裏目に出る?管理職不適性の3大特徴

「仕事ができる人」がマネジメントで失敗するケースには、共通する特徴があります。これらは個人の性格というよりも、「プレイヤーとしての成功体験」が強く影響しています。

  • 「自分でやった方が早い」という思考が抜けない部下に仕事を任せられず、自分で抱え込んでしまうタイプです。これは部下の成長機会を奪うだけでなく、管理職自身の長時間労働(過重労働リスク)を招きます。
  • 「正解」を押し付け、部下の多様性を認められない自分のやり方が唯一の正解だと信じ、部下の提案を否定してしまうパターンです。心理的安全性が低下し、離職率の上昇やメンタルヘルス不調の原因となります。
  • 人間関係の調整(ソフトスキル)に興味がない「数字さえ出せばいい」と考え、部下の感情ケアや他部署との折衝を軽視するタイプです。組織としての生産性は、個人のスキルの合算ではなく、チームの相乗効果で決まることを理解できていない状態です。

2. 社労士の視点:不適性者が管理職になる「労務リスク」

適性のない人物を管理職に据え続けることは、単なる「業績の伸び悩み」以上の深刻なリスクを企業にもたらします。社会保険労務士として、特に注意すべきは以下の3点です。

組織を壊す3つのリスク

  1. 離職コストの増大:不適切なマネジメントにより、次世代を担う若手社員が離職します。採用難の現在、一人離職するだけで数百万円の損失(採用費+教育費)になると言われています。
  2. ハラスメントの発生:プレイングマネージャーとしての焦りから、部下を強く叱責し、パワハラ問題に発展するケースが後を絶ちません。これは企業のブランドイメージを著しく損ないます。
  3. 安全配慮義務違反:管理職自身が実務を抱えすぎてパンクし、自身の健康を損なうケースです。企業には労働者の心身の健康を守る義務があり、不適性な配置が原因で訴訟に発展するリスクもあります。
特徴プレイヤー(適性あり)マネージャー(適性あり)
視点自分のタスク・スキル向上チーム全体の成果・育成
喜びの源泉自分が目標達成すること部下が目標達成すること
コミュニケーション報告・連絡・相談(正確性)傾聴・フィードバック(共感性)

会社の成長と安心を支える3つのプラン

在籍人数に応じて段階的料金プラン

3. 「適性診断」でミスマッチを防ぐ:客観的な基準の導入

「性格が良いから」「勤続年数が長いから」といった主観的な理由での昇進は、現代の組織運営では危険です。客観的なデータに基づいた適性診断と、役割の明確化が必要です。

当事務所(r-syaro.com)では、人事コンサルティングの一環として、以下のステップでの適性評価を推奨しています。

  • 適性検査(アセスメント)の実施:リーダーシップ資質、ストレス耐性、対人感受性などを数値化し、「向いているかどうか」を本人・会社双方が納得できる形で可視化します。
  • 管理職登用基準の明確化:社務士の視点で「名ばかり管理職」にならないよう、職務権限と責任範囲を職務記述書(JD)に落とし込みます。
  • 専門職ルートの確立:「マネジメントは向いていないが、実務スキルは極めて高い」人材を救うため、管理職にならなくても昇給・昇進できる「専門スペシャリスト職」の賃金制度設計を支援します。

人事担当者様へ

本人にとっても、不向きな役割で苦しむことは不幸なことです。「適性がない」ことを排除の論理にするのではなく、「どのポジションなら最大貢献できるか」を見極めるための診断が必要です。

\労務リスクは未然に防げます/

中小企業こそ人事労務を徹底!

石井 隆介のセミナー実績

私は、年間50回以上のセミナー・研修登壇(掲載媒体数 5誌以上受講者数 300名超)を通じて、「信頼される管理職を育てたい」と願う多くの経営者・管理職の皆様を支援してきました。


特に近年は、テレワークや世代間ギャップの影響で、「これまで通じていたマネジメントが通用しなくなった」という相談が急増しています。

少人数制のこのセミナーだからこそ、実務に落とし込める具体的な方法をお持ち帰りいただけます。

【保有資格】社会保険労務士 登録番号:第14170086号